登山での山のグレーディング|グレーディングの見方、活用方法の紹介【自分の登山レベルを知ることが大事】

グレーディング

こんにちは!ハチ(@asobilifegogo)です。

今回の記事では登山における「グレーディング」というものを
解説させていただきます。

皆さんの中には
グレーディングという言葉を聞いたときがあるという人は多いと思いますが、
登山をする前に山のグレーディングを知ることによって、
自分の登山に適した山なのか、その登山では何を必要されるのか、
などを知ることができます。

まずは山のグレーディングとは何かということを
知っていきましょう。

登山における山のグレーディングとは?

富士山

グレーディングって何?

登山のグレーディングというと
あまり聞き覚えのないような言葉だと思う人もいるかもしれませんが、
登山における山のグレーディングとは
山の登山ルートを体力度、技術的難易度などを
数値やアルファベットで評価したものです。

現在では全国10県、石槌山系、祖母・傾・大崩山系で
同一基準の1,052の登山ルートのグレーディングが公表されています。

日本百名山はグレーディングを公表している十県二山域から抜粋して
68山、210ルートがグレーディングされています。

下記は各県、各山域のグレーディングのリンクになりますので、
登りたいと考えている山やすでに登ったときがある山など、
探してみましょう!

登山におけるグレーディングでは
体力度や技術難易度などで評価されていることにより
登山者自身の力量にあった山を選択することができます。

登山計画を立てる際はグレーディングに合わせて天候や残雪、
体調など偶発的な要因などによるリスクも考慮して
計画を立てましょう。

山のグレーディングの見方

各県や山域から公表されている山のグレーディングですが、
評価されている基準のグレードや数値は各県、山域ともに共通しています。

グレーディングでは主に次の2つの項目を主軸として
グレーディングされています。

  • 体力度 1〜10(10段階)
  • 技術難易度 A〜E(5段階)

では次にグレーディングの主軸の一つである体力度について、
どのような基準でグレーディングされているかを説明します。

体力度

登山

体力度はコース全長やコースタイムなどからルート定数が計算されており、
技術難易度も十県二山域共に同基準、同内容から算定されています。

1〜10段階でグレーディングされており、
数字が高いほど体力が必要ということになります。

体力度のグレーディングでは次の4つの項目の数値を公式にてルート定数を算出して
10段階でグレーディングしています。

  • コースタイム
  • ルート全長
  • 累積登り標高差
  • 累積下り標高差

ルート定数を計算する公式は次のようになっています。

ルート定数=
コースタイム(時間)✕1.8+ルート全長(km)
✕0.3+累積登り標高差(km)✕10.0+累積下り標高差(km)✕0.6

体力度のルート定数の数値の元として、
次のように体力度からの山行行程が推奨されています。

体力度1〜3日帰りが可能
体力度4〜51泊以上が適当
体力度6〜71〜2泊以上が適当
体力度8〜102〜3泊以上が適当

体力度のグレーディングはこのような算出のもと公表されています。

技術的難易度

登山

下記の表は技術的難易度を示している基準ですが、
体力度と同じくして、どの県も同基準、同内容にて算定されています。

A〜Eまでの5段階でグレーディングされており、
Aが最も技術的難易度が低く、Eが最も高くなります。

項目は登山道、技術・能力という2つの項目がグレーディング別に記載されており、
登山道に関してはAからEに向かうほど難易度の高い登山道の状況となっており、
技術・能力に関してはAからEに向かうほど
登山者に求められる身体的なスキルも高くなっています。

こちらは信州の山の技術的難易度のグレーディング別の内容になります。

技術的難易度 グレーディング

グレーディングは十県二山域から公表されていますが、
グレーディングの基準や内容などは
グレーディングが公表されている全県、全山域ともに変わりません
(記載の書式などは様々です)。

実際の山のグレーディングの見方

こちらは信州山のグレーディングの実際の表になります。

では実際に項目を見ていきましょう。

信州 山のグレーディング

①日帰り、泊まりの目安

日帰りや泊まりなどの目安がわかります。

次のように日帰りから2〜3泊以上が適当、
など下記のように目安の行程が記載されています。

  • 日帰りが可能
  • 1泊以上が適当
  • 1〜2泊以上が適当
  • 2〜3泊以上が適当

グレーディングの表にはコースタイムが書かれていませんが、
この日帰りや泊まりの目安だけでも
時間、距離的にも1日の山行では厳しいなどの判断がつきます。

②体力度

体力度が1〜10まで表示されています。
数字が高いほど体力が必要な山(登山ルート)であるということです。

表を見てみると上にあればあるほど
体力や連泊をすることが適当であり必要ということです。

③技術難易度

A〜Eまでの5段階でグレーディングされており、
Aが最も難易度が低く、Eが最も難易度が高くなります。

④山名(登山口)

こちらは山名と登山口が記載されています。
記載されている箇所によって
山のグレーディング(体力度、技術難易度)がわかるようになっています。

山名の左側にある数字は
「信州山のグレーディング一覧表」にある番号(五十音順)になっています。
色は山域によって色分けされています。

信州 山のグレーディング

⑤登山道、技術・能力

ルートの難易度別に登山道の状況、
あなた自身に求められる技術、能力などが書かれています。

登山道の項目はいわゆる山でいう難所と呼ばれる場所あり、
グレードの難易度の高いほど難しい難所となります。

技術、能力に関しては自身に求められる地図読みなどの能力から
はしご、鎖場、岩場などの身体的な能力などがルート難易度別に書かれています。

これから登山をレベルアップしていきたいと考えている人には
必要な項目でもあります。

山のグレーディング一覧表

各県が公表している山のグレーディングでは、
山のグレーディングの他に山のグレーディング一覧表というものも公表されており、
グレーディング情報の他にコースタイムや標高差などの情報も記載されていますので、
グレーディングと合わせて見てみましょう。

信州 山のグレーディング

グレーディングの他には次のような情報が記載されています。

  • スタート、終了地点(登山口標高)
  • 合計コースタイム
  • ルート長(km)
  • 累積登り標高差(km)
  • 累積下り標高差(km)
  • ルート定数

コースタイムや標高差など参考に役立つ情報が記載されてますので、
グレーディングと合わせて登山計画の参考にしましょう。

山のグレーディングの活用方法

ケルン

これから山のグレーディングを活用していくのなら、
下記の方法がおすすめです。

  • 登山する山を決めてから山のグレーディングを確認
  • 山のグレーディングから登山する山を探す
  • すでに登山したことのある山のグレーディングを見る

登山する山を決めてからグレーディングを見てみる

例えば八ヶ岳山域の蓼科山を七合目登山口から登ると決めた場合、
信州山のグレーディングに蓼科山が記載されています。

蓼科山 グレーディング

蓼科山(七合目登山口)のグレーディングを見てみると、
日帰りが可能であり体力度が「2」、技術的難易度が「B」ということがわかります。

技術的難易度「B」の項目の内容を確認します。
どのような状況の登山道なのかを想定できます。

そして技術・能力の項目では自分自身の登山でのスキルと照らし合わせてみます。

体力度や技術的難易度などで、
蓼科山(七合目登山口)のグレーディングが
自身に適当な山の登山なのかを判断できます。

山のグレーディングから登山する山を探す

山のグレーディングは十県二山域から公表されていますので、
県や山域を決めて山のグレーディングを見てみます。

こちらは群馬県の山のグレーディングですが、
群馬県内の山の登山で体力度「2」、技術難易度「B」を見てみると
次のように群馬県内の山と登山口がわかります。

群馬県 山のグレーディング

自分自身の体力度、技術的難易度のグレードなどを把握しておくと
素早くレベルに応じた山が探すことができます。

すでに登山したことのある山のグレーディングを見る

こちらは山梨県のグレーディングです。

実際に登ったときのある
日本百名山の金峰山(瑞牆山荘)の山のグレーディングは
「4C」で1泊以上が適当という評価です。

参考に金峰山は瑞牆山荘からのルートの他に
大弛峠からのルートがありますが、
ちなみに大弛峠からのルートは「2A」というグレーディングです。

同じ山でも登山ルートによってグレーディングが違います。

山梨県 山のグレーディング

このように実際に登ったことのある山の参考を思い返し、
山のグレーディングと照らし合わせることによって、
自身の体力度、技術難易度は適当であったのか、
同じグレーディングに挑戦することは可能なのか、
などの判断をすることができます。

登山前は山のグレーディングを見て登山ルートの事前確認

登山道

登山前に山のグレーディングを確認し、登山ルートの状況などを知ることによって、
下記のような登山での事前準備をすることができます。

  • 登山するしないの判断
  • 登山装備の準備
  • 心構え

登山するしないの判断

登る山が決まったらWebやYou Tubeなどで
山や登山ルートなどの情報を得ることも有効ですが
山のグレーディングを見ておくこともおすすめします。

グレーディングから体力度、技術難易度から
自分の登山レベルと比較してみましょう。

特に今まで自分が登ったグレーディング以上の山に登る際は
注意が必要です。

そしてグレーディングと合わせて下記の数値などを確認して
自分の登山スキルと照らし合わせてみましょう。

  • スタート、終了地点(登山口標高)
  • 合計コースタイム
  • ルート長(km)
  • 累積登り標高差(km)
  • 累積下り標高差(km)
  • ルート定数

無理なく楽しい山行にするためにも事前に山のルートの状況を確認して、
「自分でも登れる山なのか」という判断をして
登山計画を立てましょう。

登山装備の準備

グレーディングの数値が上がる(レベルが上がる)ことによって、
登山の山行における登山装備も変化する可能性が出てきます。

例えば体力度の高い山行となれば携帯する飲料の量も多くなりますし、
技術難易度の高い山であればハードな山行に耐えうるシューズなどを
携行していく必要もあります。

登山では自身の所持や携帯しているものが
自身の身を助けてくれることが多くあります。

登る山のグレーディングを見て、
山行に適した装備を用意して身につけていくことが必要です。

心構え

山のグレーディングや情報を頭で知ることによって、
登山装備の準備やこれから登る山やルートを歩く心構えができます。

いきなりの「困難」より、事前に情報を知ったうえで
乗り越えることができる可能性があります。

事前に情報を知ると知らないとでは大違いです。

これから登る山はどのような山なのか、
どのようなルートなのか、
ということを事前に知り、山行に挑むのが良いでしょう。

まとめ

今回の記事では山のグレーディングというものについて
見方や活用方法などを解説させていただきました。

山のグレーディングとはもともと遭難防止のために
作られた山の評価です。

山という未知の領域を事前にグレーディングで示してくれることによって、
登山者に安全を促してくれているものです。

登山を安全に楽しくしていくためにも
事前に山のグレーディングを確認していきましょう。

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